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塩崎賢明先生の最終講義と鼎談

2012年3月3日(土)、神戸大にて塩崎賢明先生の最終講義があった。

立ち見が出るほどの盛況。
最終講義は、これまでの研究を一望するもので、とてもすばらしかった。(非常にたくさんのことが詰め込まれており、とてもここでは内容に振れることはできませんが…)

第二部は塩崎先生を含む鼎談で、阪神淡路大震災と東日本大震災のキーパーソン3名が登壇。
非常に濃密な鼎談となりました。その一部発言をメモとしてまとめたので、アップいたします。
(室﨑益輝先生の発言部分です。文責は、私、平田隆行にあります。時間があれあ、つづきも書きます。)

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鼎談「住宅政策と震災復興の展望」

鈴木浩(福島大学名誉教授、福島県復興ビジョン検討委員会座長)、室﨑益輝(関西学院大学災害復興制度研究所所長)、塩崎賢明(神戸大学大学院工学研究科教授)
神戸大学六甲ホールにて
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■復興を考える上で、阪神大震災は大きな転換期(室﨑)

1976年酒田大火から復興計画にかかわってきたが、阪神淡路大震災はきわめて大きな歴史的転換期であった。
それは神戸大に環境計画学科があったことと密接な関係がある。

1:ものの復興から「人間復興」への転換
関東大震災以降、ハード中心、都市のインフラ基盤整備を行いながら復興を勝ち取っていく復興であった。
阪神淡路大震災では、道路、住宅など「もの」ができただけでは復興にならないことがわかった。
「暮らし」「生き甲斐」「こころ」など、生きざまの総体を見ながら、復興を捉えなくてはならない。復興の論理の中に、社会科学、心理学、経済学などを復興の論理に組み込まなくてはならない。住宅再建だけではなく、住宅の中での生活再建を考えなくてはならない。その視点を厳しく問いかけたのが阪神淡路大震災だった。
そこで早川・重村・塩崎研究室の生活の総体を対象としていた視点が重要だった。その成果が、まちづくり協議会であり、被災者生活再建支援法につながっていく。

2:「復興はプロセス」
復興は結果ではない。まちづくり協議会だけに限らず、誰が参加をして、だれが意思決定をして、都市計画を決定するのか。専門家がどういう形で関わり、どう進めていくのか。このプロセスをつくっていく技術は、いま東日本大震災で非常に求められている。その意味で、塩崎先生の果たした役割は非常に大きかった。

3:復興における専門家論、建築家の職能論
阪神淡路大震災の時は、なぜ、建築デザイナーがもっと積極的な提案をしないのか、と感じた。
今回の東日本大震災では、建築デザイナーの提案は多く出ているが、身をわきまえていないのではないと感じる。
服をつくるのであれば、施主の身体に合わせてかたちをつくるのがデザイナーであるはずなのだが、はじめにかたちがあって、それに住め、という主張になってしまっている。専門家とは、自分の主張を捨てることであり、まずは被災者の話を聞かなくてはならない。被災者一人一人の気持ちに寄り添いながら、それを科学技術の力でどうすれば実現できるか、そのための科学的な論理が必要である。阪神淡路大震災では、情緒的な理論と情緒的な計画論・復興論と、情緒的な制度をつくってしまった。それは東日本大震災では役立たない。専門家としてかかわろうとする気持ちは強く持っているのだが、かかわり方のスタンス、距離感をどうすれば被災者のためになったのかははっきりと示せていない。

専門家論は今、非常に問われている。都市計画プランナー、都市社会学の研究者、お金に群がるのはやめてほしい。被災者のために何ができるのか、を今ほど厳しく問われている時代はない。

■東日本大震災1 -まずは、産業復興を-(室﨑)
復興とはあらゆることを総合的にやらなくてはならないが、政策的にどこからなにをどう動かしていくのか、を考えなくてはならない。阪神淡路大震災と東日本大震災では、そこが決定的に違う。阪神淡路大震災では、暮らしのなかで、住宅を失うことがいかに残酷さを与えるか(孤独死など)を明らかにし、住宅政策論、コミュニティー論として復興を考えることが中心だった。一方、東日本大震災では、まずは将来を展望できる仕事をしっかりつくりあげる産業政策が大切。東北の農業、漁業、おいしい食べ物をつくって、それを届けてほしいとおもうが、その情景は全く見えない。これでは地域から人がいなくなってしまう。まずは仕事を取り戻すことが重要。

その意味では臨海部の建築制限は問題。自分の土地に住めないのは憲法違反だと思うし、地区内でなければ高台移転できないのもひどい。だがなにより、水産加工施設や製氷など水産関連施設を造れないようにしてしまうのは、東北の息の根を止めることになる。東北では、住宅復興より産業復興を優先すべきである。19兆円の復興予算のうち、少なくとも10兆円は産業復興に用いるべきだった。ただもう予算の大枠決まってしまっており、大きくは変えられない。

■東日本大震災2 -その先の自治体復興-(室﨑)
もう一つ、自治体復興がある。今、東北の自治体はとてもひどいことをしているが、自治体を責めることはできない。なぜなら、自治体そのものが崩壊しているから。いま必要なのは、自治体が余裕を持って正しいことをできる体制にすること。自治体が生き返れば、職員はそこではじめて被災者に向き合うことができる。いまの自治体職員に被災者を見る余裕はない。だから結果的に被災者に嘘を言うことになってしまっている。自分の土地に仮設住宅を建てる方法は不可能ではない。かつて、能登半島沖地震では国交省はOKを出した。しかし、自治体ではそれはできないという。やろうとすれば、自治体職員は手間をかけて計画し、県と大変な交渉をしなくてはならない。その余裕がない。今東北で起こっている現象を、阪神淡路大震災と同じように、住宅政策やコミュニティの問題として捉えることは出来ないのではないか。阪神淡路大震災では、住宅とコミュニティで復興はある程度説明ができ、方向付けられた。しかし、東日本大震災は別の切り口、新しい視点で捉えなくては乗り越えられないだろう。

(つづく)

 

 

 

 

 

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