高野口小学校はいま・・・

建築ジャーナル11月号に掲載した高野口小学校の記事です。
けっこう、面倒な話になっています。
一応、ケリはついたのですが・・・・(ケリをつけてよいものかどうか?)
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現役の木造校舎である橋本市立高野口小が揺れている。
ちょうど滋賀・豊郷小学校の保存問題がマスコミを賑わしていた2003年、旧高野口町は木造校舎の保存改修を決めた。2006年、改修設計を終えた状態で市町村合併、事業は新しい橋本市に引き継がれた。今春、予算も承認され改修は順調に見えた。しかし、着工目前で校区内の住民から「全面建て替え」の要望が出され事業はストップ。5月には2700名の署名つきの請願となり、これを受けた橋本市は計画を根本的に見直し、大半を建て替える方針を打ち出すこととなった。ところが、木造校舎の危機が住民に知られると、今度は保存改修を請願する運動が地元で起こってしまう。
なぜ、こんなことになったのだろうか。
建替にしろ保存にしろ、住民が望んでいることは同じである。それは「ベストな学校をつくること」である。しかし、どのやり方がベストになるのか、その判断は住民に与えられた情報によって大きく異なる。「歴史的価値があるからといって、子どもたちにガマンして使わせるのはおかしい」というのが「全面建て替え請願」の理由であった。しかし、改修案をよく見れば、外観は同じでも内部は大胆に改装され、「ガマンして・・」というのはまったくの事実誤認であることがわかる。情報が乏しかったり間違っていたりすれば、地元を愛する人々のエネルギーが逆にブレーキになってしまう。住民に出来る限りの情報を開示することが、これからの行政やNPOの大きな役割であるのだろう、そう感じた。
(平田隆行・和歌山大学システム工学部)

「先進国だからこそ、のむらづくり」

建築学会農村計画部門のセッション「いかに美しい国土(くに)をつくるか−国土形成の戦略的課題と展望」に「投稿する!」と言っていて、流れてしまった原稿(笑)。
このセッションは、「全国総合開発計画(全総・1962-)」の後継に当たる「国土形成計画」に関係したセッション。ってことは都市・農村のバランスをどのようにとりながら国土の保全開発を行なうか、が議題となる?  けれど、60年代と違って今はグローバリゼーションの時代。国内だけの視点で済むはずはないだろう・・・と思って書いたのがこの原稿。
きっかけは紀南地方の農山漁村。それに最近読んだ数冊の図書を重ねてみる。
おおかた出来ていたんだけど、どうもイマイチ納得できずで送信せずにいたのね。で、7月の怒濤の日々の中で放置され続けた。どうも出す気になれなかった。
とはいえ、せっかくだから、ブログに載せておきます。

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建築学会大会_「建築計画,その可能性の中心 -建築計画は集落を超えることができるか-」

2006年度日本建築学会(関東) 建築計画部門研究懇談会
2006年9月7日 9:15〜12:00,神奈川大学7号館13室
小野田泰明(東北大学),浅井 保(神戸大学),鈴木健二(鹿児島大学),林田大作(和歌山大学),平田隆行(和歌山大学),長坂 大(奈良女子大学),中谷礼仁(大阪市立大学),岡本和彦(東京大学),山本直彦(滋賀県立大学),佐藤浩司(国立民族学博物館),布野修司(滋賀県立大学)

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「文化としての住まい」12,「カリンガから見た日本の住まい」

集落図
060405産經新聞和歌山版・研究室最前線 
都市から遠く離れた山奥で伝統的な生活を送るカリンガの人々。そんなカリンガの村から現代日本の住まいを見たとき、いったい何が見えるのか。和歌山大学システム工学部環境システム学科の平田隆行助手は、便利さや経済的繁栄と引き換えに日本の住まいが失ったのものは何だったのか、そのヒントが得られるという。本シリーズの最終回である今回は、カリンガから見た現代日本の住まいについて考える。

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