
4月にブロンプトン/Bromptonという折りたたみ自転車を入手して,DIYレストア(自力で再整備)した。
web上の情報に助けられたので,私の経験もここに残しておこうと思う。情報があれば,工具さえあればできると思う。
ブロンプトンは,息子の通学用である。身長は小五くらいで,この体格に合わせて自転車を買うのは中途半端。加えて,送り迎えで車載できる折りたたみがよい。別に「Birdy」も持っているので(OEMのBianchi Fretta 2009)を貸し与えてみたのだが・・・学校の基準に合わず,乗り入れが許されなかった。ブロンプトンなら基準にあいそうだったので,チャレンジしてみることにした。
ブロンプトンは新車だと30万円くらいで売られるオシャレ高級車だが,20年以上前に台湾生産で安かった時代の中古車体が手頃な価格で入手できることがある。今回は宅配不可手渡しのみ,走行時異音あり,ジャンク扱いの車体を4万で譲り受けた。2001年頃の台湾製だ。これをレストアする。
ブロンプトンを選んだのは,あくまで実用性でスタイルには拘らない。純正だろうが,中華製だろうが,機能すればそれで良いと思っている。もちろん,可愛らしいルックスも好きではあるけれども。
ブレーキレバー,シフトレバー,ブレーキシュー,チェーンは劣化しているためシマノ製に付け替え。折りたたみ部分のゴムサスペンションは割れており,中国製の鋼製スプリング(2300円)に取り替え。追加したものとして,CatEyeのライト,バーエンドミラー,リアキャリア(中国製6000円),キックスタンド(中国製2000円,通学用なので必要),ベル,テールライトである。ボロボロのチェーンガードは取り外した。タイヤ,チューブは新品購入してみたものの,まだ使えそうなので,付け替えてはいない。錆びついたボルト・ナット類はできるだけステンレス製に変えている。リアのリフレクタはキャリアと干渉するので外し,あらたにternの車体に付属していたものを取り付けておいた。ブレーキワイヤーとシフトワイヤーが短すぎて正しい形で折り畳めないことに気がつき,こちらも交換した。

レストアの一番の難所は内装変速ハブで,オーバーホール必須であった。シフトチェンジできても,ペダルを逆回転させると,必ずチェーンが外れてしまう。このモデルの内装変速機は,ドイツのSachs社が元々作っていたT3というモデルで,アメリカのSRAM社がそれを引き継いで生産していたものだという。現在でもそのデータや部品番号が調べられるし,YouTubeに分解している動画がいくつもある。なお,分解にはモンキーレンチだけではダメで,22mmの薄板スパナが必須となる。

集めた情報をここに残しておく。
パーツ図(ここの114pが分解図,115pはパーツ番号が記載)
分解動画(YouTube)
内装ハブを分解し,遊星ギアを取り出したら,古いグリスを拭き取り,チェーンクリーナーを吹きかけて固着していたグリスを溶かしながらマイナスドライバーや千枚通しで削ぎ落とす。固着グリスが取れて綺麗になったらシマノの内装変速用グリスを入れて組み立て直す。だが,ペダル逆回転時に抵抗が大きすぎ,回転についていけずチェーンが落ちてしまう。何度も再分解しても原因がよくわからず諦めかけた。一週間後,乗りながら,なぜなのかを考えていると,遊星ギアの外,カップの内側のグリスが抵抗を増やしているからでは?,と気がついた。その部分にはグリスを塗らず,クラッチのツメの当たる部分だけにグリスを塗ることにした。すると抵抗が激減,快適に使えるようになった。原理を考えれば当たり前だが,金属同士が当たらない部分にグリスを塗るべきではなかったようだ。本来なら3時間で終わる作業だったが,その5倍くらいかかった。
なお,ベアリングボールがいくつもダメになっていて交換している。ノギスで測ると4.75mmなので,「3/16」と呼ばれるサイズだろう。近くの自転車屋さんでシマノのベアリングボールを25個ほど譲ってもらう。微妙にサイズが違うと問題なので,全てのベアリング(12個+12個)を全て交換することにした。ベアリングを抑えるリング状のパーツ(ベアリングリングホルダー)が曲がってしまってて,これも本来は取り替えねばらないと自転車屋さんに言われるものの,交換用パーツはないので,騙し騙し手作業で修正しながら使うことにした。後で分かったことだが,このパーツ番号は「0 0576 104 200」で,SachsやSRAMなどのワードと一緒に検索すると6ユーロくらいで販売されているサイトが見つかる。もし割れていても部品取り寄せで対応できる。
このSachs T3内装変速ハブ,シンプルで無理がなく,ベアリング交換とグリスアップができれば末長く使えると思う。数年後また,分解することになりそうだ。
オークション時の説明に異音がするとあったが,タイヤが泥除けに当たっていたので,すぐに解決できるとおもっていた。だが,泥除けが当たっていなくとも,カランコロン音が聞こえる。この原因もなかなか特定できなかった。しばらく乗ってみて,スポークの緩みから生じているのではないかと思いつき,スポークを締め直し,振れ取りを行ったらビンゴ,解決した。
中華製リアキャリアは,現行の英国製フレームに合わせたサイズになっていて,台湾時代の車体には取り付けられなかった。ハンマーで叩いて取り付け場所を5mmほど広げてなんとか取り付けている。性能的にも見た目的にもは大きな問題にはなっていない。
以上,レストア作業だが,試行錯誤が多く,結局20時間程度かかった。取り替えたパーツが1万円程度,加えたパーツが2万円程度,予備タイヤ含めると合計4万円程度を投資した。結果,快適に乗れるBromptonになった。マニアには台湾製はイマイチだとされているが,実用性は十分で良い車体だと思う。英国製のブロンプトン本体や純正パーツ類は高級品すぎるので,普段使いできる台湾製の方が私には合っていると思う。満足。
(今回使用したパーツ類)
ブレーキレバー シマノ4フィンガー左右 BL-C6010 ¥2,320×2
ブレーキシュー シマノ BR-6700 ¥1,554 ×2
ブレーキアウターケーブル Jagwire 52P2M/BLK ¥1,188×2
ブレーキインナーケーブル (自宅在庫・CTRICALVER製)
シフトレバー シマノSL-TX30-LF 3S ¥1,365
シフトインナーケーブル シマノ Y60098911 ¥639
シフトアウターケーブル Jagwire 4SP2M07/BLK(自宅在庫)
ベアリングボール シマノ3/16,24個 ¥250
チェーン シマノ CN-HG40 6/7/8S用(自宅在庫。CN-NX10でいいんじゃないかと思う。)
ミッシングリンク (自宅在庫)
サスペンション/スプリングアブソーバー Oikabio製 ¥2,243
リアキャリア Caduceus製 ¥5,980
サイドスタンド_Freneci製,ブロンプトン用 ¥2,399
ライト CAT EYE HL-EL145 ¥1,889
バーエンドミラー CAT EYE BM-45 ¥1,520
ベル YINKE ¥1,145
テールライト_TOWILD TL03 ¥2.980
チューブ:SCHWALBE(シュワルベ) 16×1 3/8,16×1.10/1.40,18×1.10/1.35 チューブ 米式バルブ40mm AV4 2本 ¥2,300
タイヤ:パナレーサー(Panaracer) クロスタウン Cross Town 16×1 3/8 ¥2,238 ×2
(メンテナンス・オイル類)
ハブグリス シマノ ルブリカント 内装ハブ用グリス100g チューブタイプ Y04130100 ¥1,355
チェーンルブ ワコーズCHL A310 ¥1,985
チェーンクリーナー ワコーズ A179 CHA-C ¥1,980
・特殊工具(薄型スパナ以外は所有していた)
ワイヤーロープカッター ツノダ(Tsunoda) King TTC WC-150
振れ取り台 ミノウラ(MINOURA) FT-1 コンボ
薄型スパナ 22mm
レストアを安く済ませたい方は,ブレーキ,ワイヤ,タイヤの交換は必要だろうから,工具別で1.5万は最低限必要。