思い出と記憶と連想

年末・年始にかけて、いくつかの情報を見つけて、唸った。
ひとつ目は、ユビキタス社会の物と家庭にかんする研究会
ここの「ゆもか研ニュース」が面白すぎる。 物と思い出に関する研究だ。
失われていく建物の思い出に、建物の部材でウクレレをつくってしまう伊達伸明さんの「建築物ウクレレ化計画」から話がはじまる。 

いくら文化財を保存してもそれで個人の人生が救い上げられるわけではないと多くの人が感じている、自分自身の生きた時間の意味を確認したい。その飢餓感がこうした作品づくりをささえている。ゆもか研ニュース No.1より

これまで、尼崎市・杭瀬小学校、和歌山県高野口小学校をはじめとして、学校校舎の「思い出」という資源を活かした計画を考えてきた自分としてはとても、とても興味深い。 吉阪隆正の住居学が「こころの中の住まい」からはじまっているように、単純な機能ではない部分から建築を発想するのことが、とても正しいことだと思っているからだ。
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(ちなみに、研究対象のひとつだった「尼崎市立潮小学校」の校門が「槇原+ダウンタウン」の「チキンライス」のジャケになってました。これも「校舎の思い出」のひとつですね。)


だから記事にとても引き寄せられてしまう。そして、ユビキタス社会をむかえたとき、どうなるのか?IT革命がコミュニケーションの革命であると思っている私には、この話にはとっても興味深くうつる。
この研究を主宰している佐藤浩司先生は、私の尊敬し、また最も影響をうけた建築研究者3人のうちの1人でもあります。(直接お話ししたことは数少ないのですが。ちなみに、最も影響を受けた3人とは、重村力(指導教官でもあります)、布野修司(京都大学)、佐藤浩司(民博)の3人で、彼らの仕事にとても憧れました。)
さて、「思い出と物」のことをしきりに考えていたら、CPU開発で有名な柴田直教授(東大)のインタビュー記事が飛び込んできた。
これがまた、面白い。 「人間とコンピュータは全く違う」ということは、高校の頃読んだ柄谷行人の本に書いてあって、それはとても正しいことに思えた。簡単に言うと、人間の思考はゼロかイチかの、デジタルな思考が積み重なっているものではない。だから今のコンピューターがいかに高度に集積して高速化しようとも、人間とは違う、こんな感じだった。(うろ覚え)
この柴田氏は、人間の脳をモデルにしたVLSIを開発していて、その方法論はまさに目からウロコ。
それは「連想」こそ思考力に他ならない、ということだった。これは直感的にまさにそうだ、と実感できる。
こうなると、脳モデルや連想の仕組み、その連想が元となる「記憶」の仕組みに興味が行ってしまう。いても立っても居られなくなって、ちょっと前に話題になった





on 2005-01-06 01:32:55
edit
池谷 裕二著「記憶力を強くする?最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方」
を、急いで買いにいって読む。うーん、面白い!
この本は東大若手助手による本で、とてもわかりやすく、注意深く、かつ最先端の脳科学の話が書かれている。これを読むと、誰でも「天才」になれそうな気がしてくる。海馬の研究の話はとても興味深いけれども、その話を書き始めると大変だから、我慢しておこう。
ひとこと、建築的には「場所/空間を記憶する」特別な機能があることに、とても興味がわいた。しかもそれは視覚情報よりも「におい」や「触覚」がより重要なのだと言う。とても心当たりがある。
正月はこんな話題でワクワクしてた、という報告です。

思い出と記憶と連想」への6件のフィードバック

  1. すみません。。
    12/4の記事「GPSで落書き」です。
    よく分かってなくて申し訳ないのですが、
    トラックバックのURLって同じサーバー上でしか機能しないのでしょうか?
    そうですね。
    ターさん帰って話聞くのも楽しそう。
    (今回はネタ多そうなので・・・)
    来月あたり調整しましょう。

  2. むー、どうもトラバのURLみたいで、見られない・・・
    新年会、現在ヒラタは風邪で倒れてます(最近脆弱だなぁ。)来週はセンター試験か・・・むー。月曜夜とか、そんな感じかな?ちょっと頻繁すぎ?むしろタードサックが帰ってきて、来月ぐらいがいいかしら?

  3. ぜひ、やりましょう。
    また候補日あったら教えてくださいませ。
    ちなみに(大分前ですが・・)
    http://app.cocolog-nifty.co
    こんな話で盛り上がってました。
    hiraさん忙しい頃ですね。多分。
    それでは、新年会を楽しみにしています。

  4. あけましておめでとうございます。
    「海馬」の方がくわしく書いてあった、と思います。たしか、「記憶力・・」の方が先に出てたんじゃないかな?内容的には「記憶力・・・」の方が容易だと思います。
    akanemさんの言う二分化とは、いわゆるIT文盲問題ですね。これは、世代が交代しなけりゃ変わらないでしょう。ネットは無くても生きていけます。でも、道具として便利なことは確かだし、何より既存メディアに金とおべっかを使わなくて済むとこが良いです。(笑)
    お!
    新年会!

  5. あけましておめでとうございます。
    池谷 裕二さんって「海馬」の著者の人ですね。「海馬」を読んでとても面白かったので、その本もぜひ読んでみようと思います。
    毎度のことながら、
    この辺りのことは私も非常に興味あります。
    次の記事とダブって申し訳ないのですが、
    XOOPも色んな可能性がありそうですね。
    ところで、ユビキタス社会って実際はどうなるんでしょうか?
    最近どんどん二分化されていってるような気がしてしかたありません。
    仕事の上でもネットはどんどん活用していきたいものの、本当の意味で理解してもらえるようになるにはまだまだ、と感じています。
    でも、個人的にはその可能性に期待したいと思っているのですが。。
    そんなこんなで今年もどうぞよろしくお願いします。
    また新年会しましょう。

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