そういえば,近年はこちらに載せてなかった。
今年は載せておきます。植原くんです。
田辺市中心市街地の災害前に浸水域に建てる住宅群の計画です。
推薦のことば
平田隆行 和歌山大学システム工学部建築・ランドスケープメジャー准教授
南海トラフ地震の津波浸水想定域での提案である。田辺は歴史ある紀伊半島の中核都市であるが,浸水リスクから地価は下がり,空き家化と高齢化が進んでいた。植原君が取り組んだのは,この地に「田辺らしく豊かに」住み続ける住居の「型」だった。 津波対策は一般的に高層化か嵩上げである。高層化は地方都市の暮らしには合わない。面的な嵩上げは被災前には困難だ。そこで植原君は「丘」が連続して減災機能を持つ街を考えた。そして丘を持つ街を生み出す「住まいの型」を考えた。通常,戸建住宅の庭は個人空間として閉ざされる。しかし津波浸水エリアの「丘」は違う。それは開かれた命を守るコモンズだ。開かれた丘が個人空間の住まいと絡まることで,豊かな生活環境が生まれるかもしれない。それが津波と共に生きる田辺らしさにつながるかもしれない。これがこの計画のエッセンスである。 リスクがあることはマイナスだが,それ故に孤独にならず,さまざまな人や緑,土との繋がりができる。だとしたら災害と共に生きることも悪くない,いやむしろそれは豊かさなのかもしれない。そう思わせる風景ができた。植原君の世代はおそらく,南海トラフ地震の復興を担う主軸となる世代だろう。ともすれば過剰防御になりやすい時代に,このようなオープンな提案が出されたことは,災害に備えるすべての地域に勇気を与えるだろう。(573文字)

