言葉のある風景 和歌の浦(建築ジャーナル2月号)

ちょっとテスト
建築ジャーナル二月号に小さな記事を書きました。
06年8月に和歌の浦にて行なったワークショップ
参加者とともに「言葉」を置く岩淵拓郎さん 撮影:河上隆昭さん


和歌山市・和歌の浦は、万葉の時代から優れた和歌が詠まれた名勝である。
しかし、高度成長期の宴会旅館やバブル期のテーマパーク建設などが名勝としての景観を混濁させてしまい観光客は激減、現在、旅館業者はマス・ツーリズムからの脱却をめざし、地元NPOは景観保全に動き出しはじめている。
景観を考える時、その矛先は建物の高さ規制と広告規制に向かうことが多い。悪者探しのネガティブキャンペーンだ。ここ和歌の浦にも軸線を無視した巨大ビルや文脈を無視したテーマパークなど、「悪い景観100景」に引けを取らない物件が目白押しである。
その和歌の浦で行なわれた試みが、岩淵拓郎さんによるアートイベント「言葉のある風景 和歌の浦」だ。
岩淵さんは「言葉」を置くことで「いま、ここ」の面白さを引き出す現代美術のアーチストである。その岩淵さんが参加者とともに和歌の浦を巡り、「言葉」を置き、 風景を再発見するワークショップを行なった。言葉が存在することで立ち上がる風景。悪者探しではない、風景を感じ、見いだすためのワークショップ。参加者は「言葉」ひとつでドラマティックに変わってしまう風景に驚き、眺めるということが本来、受け身ではなくクリエイティブな行為であることを学んだ。そもそも和歌の浦とは、和歌が詠まれ、それを通して風景の見方や味わい方が広まり、それが守られてきた場所だ。
景観づくりは見る側のまなざしの質を上げることからしかはじまらない。和歌と現代アートからそんなことを思った。
* YouTubeにて「和歌の浦」と検索すると、アートイベントの詳細を記録した山本知歩さんによるドキュメンタリーを見ることができます。

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