紀伊半島南部の山村民家の屋根の多くは,杉皮で葺かれていたと言われている。村々でヒアリングすると年配世代の多くは「どの家の屋根も杉皮だった」と答える。
昭和20年代から30年代のわずか十数年のあいだに杉皮葺きは消滅して行ったようである。(杉皮の耐用年数は片側5年,およそ10年というところである。
杉皮の屋根は寺社に使われることはないし,立派な民家にも使われない。だから保存対象にもならない。和歌山県内では現在4軒しか残っていない。しかもうち3軒は廃屋で,一軒は小屋である。(これは和歌山県内の700集落を悉皆調査したわが研究室の成果である。小椋・中村将之の修士論文。)
しかし,かつての和歌山の山村の景観を考えると,杉皮葺きの屋根はとても大きな景観要素のはずだ。林業とも気候とも密接に関連していて,地域性という意味でもとても興味深い。
熊野古道の修景が色々と言われているが,杉皮葺きはまったく忘れ去れていて,言及されることはないのである。
ゼミのM2坂口さんがこの杉皮葺きの分布と消滅過程に取り組んでいるのだが,和歌山・三重・奈良の県境が複雑に交錯する,熊野市五郷町湯ノ谷の「かやの木館」へ,現存する杉皮葺きの民家を見に行った。
「かやの木館」は杉皮職人である尾中鋼治さんの旧居で,現在は個人の資料館として公開されている。大工道具などが展示されているが,圧巻は杉皮の屋根である。
杉皮葺きの面白さは一回のエントリーでは無理なので,また次回に。
オグ!
みしま(new)は経験済みか?
今年は奈良・三重の熊野川沿いを終了。
来年は三重県全域。
geotag付きの民家写真は多分2万枚を超えると思う。分布図すげーぞ!
google earth,重たくなるだろうな・・
おお!!なつかしーー
オダレ・ガンギ・アマガコイ〜
かやの木館?そんなとこがあるんですかー
そんなことより、みしまに行きたいですが、、、
記憶が少し蘇りました。
次回が楽しみです。
おー,柿のシーズン,柚のシーズン。
いかんとあかんな。
また写真のっけますねー。
文献によると,杉皮葺きが圧倒的だったのは明治の植林が本格化した後だそうです。
それ以前は茅葺きなのだそうです。
うおー!かっこいい!!
確か昨年この『かやの木館』の葺き替え工程写真をネットで見たような記憶が。。。
すばらしい!久しぶりに萌えてきました!!
棟飾り(?)もおしゃれです!
あっそういや
ブラリンコの写真渡せてない。。。
柿もらうついでにいこうかな。
次回楽しみにしときます!