関空二期工の爪痕、壮絶なるブラウンフィールド

「ふじと台」造成中
(大規模住宅地開発の「ふじと台」。この近くに、ひっそりと、かつ大規模に土砂が取られている谷がある)
関西空港の埋め立て土砂は、おもに大阪と和歌山を隔てる葛城(かつらぎ)山系から持ってきた。
関空第一期工(1990年頃から94年)の期間には、南海本線に沿って、ハウジングメーカー主導の大規模住宅地が造成されている。もちろん、土砂は関空の埋め立てに使う。当初はバブルまっただ中だから、住宅は飛ぶように売れた。
しかし関空が開港したころにバブルがはじけ、その後は販売に苦しむ。
そういえば我が和歌山大システム工学部は96年の設立。とすれば造成はちょうど関空埋め立て時期。つまりは関空に土砂を提供した丘陵地に本学は建っているのだ。
関空一期工の土砂採取場は、主に南海本線沿線丘陵地の住宅地だった。土取りの跡地は、一応は有効利用されたわけである。
で、第二期工はどうかというと、


GoogleMapsで見てみれば一目瞭然。
大阪府道62号、63号の葛城山中と、海に面する和歌山市加太、大阪府岬町。関空への土砂輸送は便利だが、駅もなく、都心からは遠い場所ばかりだ。
そのひとつが、大阪府泉南郡岬町犬飼谷 GoogleMaps
資料では150haほどとあるという。甲子園球場がいくつはいるのか、正確にはわからないが、20個以上入りそうだ。
そんなスケールのこの土砂採取場、跡地利用はなんと「さとやま公園」 「公共と民間が協働で創造する新しい多目的公園〜働き・学び・憩える新しい“さとやま”空間の創造〜」(大阪府)なのだという。
へぇー。
この敷地の隣には、「モトドリ山」という山があるけれど、ここは「元通り」に戻るのか、この計画は「モトがとれる」のか? どちらも厳しそう。
実を言うと、こんな大規模な土砂採取を、私自身最近までぜんぜん気がつかなかった。場所は和歌山大から3キロ程しか離れていないが、学内でも全く話題にもなっていなかった。環境システム学科に所属しているにもかかわらず・・・だ。しかも、気がついたのはGoogleMapsを見ていた時。
この犬飼谷から西へ3キロ行くと、加太の大規模な土砂採取地。南東に3キロ行くと「ふじと台」の開発。写真の通り、住宅地開発です。和歌山大は、この「ふじと台」の隣にあるのです。
(どこの大学でもいいから、関空二期工土砂採取跡地で卒業設計、どう?)

関空二期工の爪痕、壮絶なるブラウンフィールド」への1件のフィードバック

  1. 大阪中央郵便局庁舎は重要文化財クラスの優れた近代名建築です。開発的保全再生を関係方面へ呼びかけています。都市の歴史遺産は安易に解体しないで再生すべきです。大阪朝日ビル、新歌舞伎座など次々に優れた近現代建築の取り壊し計画がことも無く発表されているが問題である。スクラップアンドビルドでなく歴史的な積み重ねが感じられるような都市景観に配慮すべきである。

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