スキャンダル

本日はゼミの新歓で呑み。
明日は6時半の飛行機で東京なので、簡単に昨日の約束を果たさせて頂きます。
「スキャンダル」(韓国映画)
(一部に性的な表現がありますので、READ MOREは自己責任でお願いします。


美男美女が多いが演技も大変にレベルが高い。単なるアイドル映画なんかではなくてちゃんと芸術映画になっている。テーマも伝統・儒教の生活慣習をまもる「たてまえ」と性の開放が進む現在の社会状況「ほんね」との乖離に沿ったもの。内容はプレイボーイ(ペ)が身持ちの堅いクリスチャン女性を落としているうちに純愛にはまってしまう話をベースに男女の三角関係を描く。
特に重要なのは、家族が決めた結婚によって夢破れたイトコの女性。一番の恋愛探求者であるが故に、恋愛を心の一番奥深いところに隠し、Sexと恋愛は無関係であるとがんばっている。実際にはイトコである(ペ)のことを愛して、屈折した形でしか愛情が表現できない。そればかりか、恋愛を押し殺しているために、他人の恋愛をもことごとく破壊しようとさえする。(ぺ)はもともとがプレイボーイで恋愛知らず。身持ちの堅いクリスチャン女性を落としているうちに恋愛感情を抱き、Sexと恋愛が一体化することをはじめて体験。それを告げられたイトコの女性は二人の仲を醜聞などの情報操作で攻撃しはじめる。二人は誤解から離別しかけるが・・それを克服しようとするとき、醜聞のためにぺが刺殺され、クリスチャン女性も後を負う。最後はぺが書き記していた女性遍歴の絵日記が世に流れてしまい、風紀を守るために当事者すべてに暗殺命令が下る・・
話し変わって、1950年代にアメリカの性の状況を記したレポートが書かれた。(キンゼイレポート)これは厳格で家族本意を建前とするアメリカの普通の人の生活が、ホンネでは大きく異なっていたことを明らかにする。パートナー以外の異性との性交渉が珍しくなく、行為自体もいろいろとある・・・などなど。このレポートが明らかになると「タテマエ」そのものが崩壊してしまう。それで「プレイボーイ紙が生まれる。人々の「ホンネ」はどんどんと進行。遅かれ早かれ「タテマエ」の変更が必要となることは明らかだった。1968/69年(パリ五月革命とか安田講堂とかウッドストックとかの年)以降、性の開放運動が大々的に行なわれることになる・・・・・(80年代のエイズ蔓延が性解放運動に終止符を打つのだが。)
この映画がつくられ、流行るということは韓国社会にホンネとタテマエの乖離がある、ということなんだろう。伝統的な価値観はとても大切、でもホンネも満足させたい・・・。ややアクロバティックで快楽を探求するセックスや自由恋愛が、非常に自然体で美しく描かれている。いかがわしいポルノではなく、こういった「誰もが見る」映画でこのような表現が描かれる、というのがとても面白かった。
さて、映画の完成度、観客の成熟度は高いレベルにあって、実写映画のデキとしてはもはや日本は太刀打ちできなくなっている(アニメは別だが)。正直すばらしい、と感じた。もちろん大島渚や原一男などの「カルト作家」はいる。しかしこれほどメジャーになり得ただろうか?
同時にドイツで先頃行なわれたrenewable2004の会議で中国が提示したリニューワブルエネルギー12%という数値目標を聞いたときのショック・・・。日本の10倍ですよ、リニュウワブルの目標値が・・・いちはやく近代化を成し遂げた日本は、アジア諸国に良い影響を与えたことがあるのだろうか? 中韓の成熟度に、日本は置いてきぼりを喰らうのではないかとさえ思えてしまう。
「スキャンダル」を見て、社会の成熟度としても韓国社会は日本と比べても遜色ないばかりか、先を行きつつあるのではないか?と感じてしまう。

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