吉阪隆正設計・生駒山宇宙科学館

2012年6月中旬、奈良県庁を訪問した帰路に、生駒山上の、宇宙科学館を見てきました。1969年に竣工した建物で、吉阪隆正の設計です。

生駒山・宇宙科学館 側面

生駒山・宇宙科学館 側面

現在、閉館しており、再開の計画はありません。建物の老朽化もあり、山上遊園の状況を考えると、この建物に大規模な投資が行われる可能性は低いと思われます。今のところ、保存運動があるとも聞いていません。大阪や奈良の人ならば、馴染みがあるかもしれません。全国的には知名度は低いように思います。

かくいう私も、関西に住んで20年も経って、はじめて訪れました。遊園地にはそもそも縁がなく、見学のために入園料がかかったり、ケーブルカーに乗ったり、ハードルが高かったのですね。

やっと見てきました。

1969といえば大阪万博の前年です。 形にその時代の息吹を感じますが、この計画はもともと、生駒山上に、新しい都市郊外のまちづくりを行おうという計画があり、その一部であったと認識しています。都市近郊に、都市と農村の融合したまちを作ろうとし、そのランドマークとしての意味を持っていたように思います。

その意味では、八王子の大学セミナーハウスの計画を、まちづくりの規模に拡大したものかもしれません。

なお、カタチは、自由なコンクリート造形を行う、ル・コルビュジエ後期のモダニズム。それに、インド・ジャイプルの天文台、ジャンタル・マンタルを連想させます。
また、箱根のコンペ案(吉阪隆正・未完成)を髣髴とさせます。

 

生駒山・宇宙科学館 正面

生駒山・宇宙科学館 壁の窓が不規則に開いていて、ひさしの形がとてもかわいらし。ル・コルビュジエの影響を強く感じる。

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