小屋

7月8日、木曜日、
ゼミを早めに切り上げ、雑賀崎(和歌山市)へ本多先生と向かう。
雑賀崎は70’sに神大向井研究室や北原理雄などがデザインサーベイを行ったところで、都心に近いにもかかわらず傾斜地に密集する漁村である。
ここのトンガ鼻にある灯台の足下に、納屋というか、小屋というか、畑の物置があって、これが景観上問題だ、というのである。(それほど悪くはなさそうだけど)
それを約30万(諸経費込み)で材料費をまかない、自力建設で新しくつくり直そうと言うプロジェクト。果たしてどうなることか?
2005年2月竣工予定。
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和歌山県御坊市・島団地

7月7日、水曜日には、
御坊市の市営島団地へ行ってきた。
レクイアム本調(B4)のリサーチペーパーで取り上げ、調査を行う予定の団地。
この団地は、平山洋介先生が率いられ、私の尊敬する先輩・糟谷さんがはりついて造り上げた建て替え公営住宅。まず、居住者のコミュニティをつくり、ワークショップを通じて建築を考えていったことが特徴。多様な家族・すまい、生き方が詰まっている。
まず、ワークショップがすごい!
よくやるなぁ!の一言。
出来た空間がいい!
こんな大変な条件でよくここまで出来たものだ!
現代計画による集合の手法、ワークショップによる多様性、がとてもうまく融合している。ひとつひとつは語らないけど、共有空間を、それとなく「私の場所」としてつくることが出来るようになっている。内島団地(兵庫県城崎町)と若草住宅(兵庫県芦屋市)を組み合わせたような建物でした。
なお、本調は「共用空間」の使われ方・管理のされ方について調査を行うことになりそうです。
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湯浅

実は、7月2日に、和歌山社会経済研究所の糀谷先生と中西主任研究員、本多教授、マエタさん(M2)とともに和歌山県有田郡湯浅町に行ってきた。
実は、かつて調査バイトで泊まり込み調査を行ったことが有ります。
そのときも「こら、保存級の街並だなぁ、無名だけど・・・」と思ったところ。
まさかそこを調査することになろうとは!
対象地区の熊野古道沿いは、ごちゃ混ぜチャンプルーな街で、「伝統的建築物保存地区」向けではない。もうひとつ向こうの、醤油屋さんの並びの方がずっとそれっぽい。
が、この熊野古道沿いは、これまた面白いところなのだ。
古くて歴史的価値が有ることに加えて、トマソン(赤瀬川)、まちアート(糸崎)が連発!おもわずアラーキーになってしまうところ。いいぇね、こういうまち!
もう、ずんずん歩きたくなる。「お!いいもんある!」の連続!
深みのある街だ!
ここは、伝統的な街というより、生きているまちだから、
それなりの、考現学的アプローチが良いと直感。
手始めに「フォトモ」(糸崎公郎)をつくりたくなった。
とにかく、いいね!
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ものづくりと著作権

大ゼミ担当。
課題は「デザインと安全性」(吉田先生出題)
メルセデスや三菱自動車を例に「安全設計」にいたるステム論が展開される。わたしとしてはチェック機構が企業体の内部にある以上、システムの問題は改善されないと発言。これはJOCの臨界事故、三菱自動車の欠陥隠しなどに共通する点だと思う。また大阪の遊具による指詰め事故では、もちろんデザイン上の欠陥は問題だが、「遊び」は「絶対安全」であるよりも「自由と責任」を前提にセーフティーネットをかけていくことも忘れないでほしいとおもった。具体的には「冒険遊び場運動」に代表されるものだ。
さて、来週の課題は、私の出題となる。
関係教官にメールした出題意図とタイトルは以下の通り
13日大ゼミの課題は「ものづくりと著作権」といたしました。
知的財産が日本の国家戦略になったり、青色LED特許訴訟で中村修二氏が勝訴するなど知的財産の扱い方が注目されてきています。著作権・特許に対して正当な対価を支払うべきだと言う一方、先進国・大企業が独占している著作権・特許が南北格差をより強固なものにしているという批判、技術の変化と情報社会の進展を考えれば、再利用が面倒な現在の著作権概念は窮屈すぎるという意見、オープンソース運動に見られるように知的財産を共有し、その上に新たな知を構築していくことこそが知を前進させるという意見もあります。
ものづくりを行ううえで、著作権というものがどうあるべきか、何が問題なのかを、デジタルミレニアム法や還流CD問題、P2Pソフトウェア開発者逮捕問題、SCO-Linux問題、論文の引用や音楽の違法コピーなど最新・身近な事例をもとに、各自の専門分野からの活発な議論を期待します。
(私自身の期待としては、「ゆるやかな著作権」からかいま見る新しいものづくりのビジョン、を見たい、という気がしています。)

これ!という文章

5日、神大重村研と和大本多ゼミとで学会コンペのピンナップ・レビューを合同で行う。重村研は昨年も全国で入選、近畿支部で2つ入選という常連だが、現時点では和大に勝算ありか?和大が卒業論文+設計をそのままネタにしているからだろうけど。
閉会後、山崎助教授の部屋にて歓談。「このひとはこれだ!」という論文は何が違うか、を議論。世に緻密な論文は多々有れど、オリジナルで新しい知をもたらす論文は数少ない、と山崎先生は言う。
吉阪隆正の「これ!」はなに?と聞かれてふと「住居学」とこたえた。深く考えはしなかったけど、吉阪隆正は「すまい」と「まちづくり」の二本立てで出来ている、と考えている。個と集団、と言ってもいいかもしれない。それが「不連続統一体」になっていくことに向かっていたのではないか、とおもう。その過程でいろんな手法が導きだされているのではないか、と。「近代化とは100年かかって個人をバラバラにして来た過程だ、今後100年かかってまたそのバラバラになった個人から組み立て直すのだ」(吉阪隆正 都市住宅・特集 まちづくり)ともいっているし。まぁ、そんなに単純ではないのかもしれませんが。
我が指導教官・重村先生のベストワークは、「木賃アパート論」だとのこと。精度は極めてはいないけど、たしかに核心を的確に捉えたものだと思う。私にとっても座右の書でかなり苦労して原本(都市住宅1972頃だったと思う)を手に入れました。さらに追加するなら、「集住の景観」(1992住宅特集)「漫画の世界と幻の都市」(美術手帳)「定住の構造・第一章」(1991博士論文)が抜きん出た作品だと思います。
さて、自分は・・・