産経新聞「防災減災わかやま」2013年10月 2年以内に地震が起こると宣告されたら

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南海トラフの地震は,東海(駿河湾)・東南海(御前崎沖から紀伊半島沖)・南海(紀伊半島沖から四国沖)の大きく3つの震源域にわかれます。この3つの震源域は同時にずれ動くこともあれば,時間差で動くこともあります。1707年の宝永地震は同時に起こり,1854年の安政地震では32時間の時間差がありました。さらに1944年と1946年の昭和地震では2年もの時間差がありました。過去の地震履歴からは、東南海の震源域がずれ動いた後に南海の震源域が動くことがわかっています。時間差は同時から2年と幅はありますが,ずれ動く順序は決まっているようです。

さて,問題はこの時間差です。仮にいま東南海で地震が起こったとしましょう。南海地震はまだ発生していませんが,時間差で発生することは確実ですので警戒しなくてはなりません。学校は休校になるでしょうし,公共交通機関も運休するところが増えるでしょう。職場では危険性のある機械を止め,船舶は沖合で津波を回避しようとするはずです。津波の浸水域にある住宅では避難が呼びかけられ,高台の避難所で過ごすことになるはずです。

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1.17_阪神淡路大震災19年

阪神淡路大震災後に被災者支援を行なう山口組。本部前にて撮影

阪神淡路大震災後に被災者支援を行なう山口組。本部前にて撮影

広域指定暴力団・山口組の本部は神戸市灘区の山の手にある住宅街にあります。阪神淡路大震災では倒壊率の低い地区で,震災の直接被害はあまりなかったと思います。1980年代は山口組の組長をめぐる抗争が頻発し,一般市民が巻き込まれて死者も出ており,警察が24時間の監視していました。暴力団排斥を訴える住民運動もありました。

さて,その山口組ですが,阪神淡路大震災直後に,かなりのボランティア活動を行なっていました。全国的な暴力団組織のお膝元ですから,トップの号令で「いざ鎌倉」とばかりに構成員が集まったのでしょう。自衛隊さながらにキビキビと,黙々とボランティアに精を出していました。パンチパーマの男たちが、紙おむつを運ぶ光景はとても印象的でした。 続きを読む

2012年度卒業設計・推薦のことば

2012年度「近代建築・卒業制作優秀作品」の推薦のことば。
ことしは、和歌山の漁村・阿尾集落の仮設住宅を扱った山口剛君の作品を評しました。

山口君は毎日DASの建築部門賞を受賞しています。
木造仮設住宅の研究で、チームを組んでいましたが、その成果を設計で発揮してくれました。

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産経新聞「防災減災わかやま」2013年6月 東北の復興が進まないのはなぜ?

公民館跡地につくられたかさ上げの高さを示すための現地確認場

名取市閖上の公民館跡地につくられたかさ上げの高さを示すための現地確認場

 

東日本大震災の発生から2年4ヶ月以上が経とうとしています。しかし、津波が襲った被災地に復興の気配は感じられません。仮設店舗の商店街や漁港に付属する水産施設ばかりで、震災前と同じように商店や住宅が建てられたというニュースはほとんど聞きません。1995年の阪神淡路大震災では、新しい住宅がどんどん建っていた時期でした。東北の復興はなぜ、これほど進まないのでしょうか?

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